まだ「知られていなかった頃」の話
今では、現場で「伸縮作業台といえば、のび台」と呼んでいただける機会が少しずつ増えてきました。
販売開始わずか1年5ヶ月で累計出荷40,000台を突破し、多くの職人さんにご愛用いただけるブランドへと成長したBuildsy(ビルジー)「のび台」。
しかし、その始まりは、海外展示会で出会った一台の既製品でした。
当時の私たちは、その商品を見た瞬間に「これは日本の現場でも必ず必要とされる」と直感しました。
代表自身が現場で働いてきた経験があったからこそ、この構造の便利さを一目で理解できたのです。
ところが、日本へ戻って市場を調べてみると、似たような構造の商品は存在していても、ほとんど知られておらず、市場もありませんでした。
「こんなに便利なのに、なぜ日本で広がっていないんだろう。」
その疑問が、すべての始まりでした。
私たちはまず既製品を仕入れ、テスト販売を開始しました。
しかし、現実は想像以上に厳しいものでした。
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング。
集客力のある大手ECモールへ出品しても、注文はほとんど入りません。
知名度はゼロ。
検索しても見つからない。
もちろん「のび台」という名前もありません。
「本当に日本の現場で受け入れられるのだろうか。」
そんな不安を抱えながらも、現場で培った自分たちの直感だけは信じ続けていました。
「この構造は、必ず日本の現場で必要とされる。」
その想いだけは、一度も揺らぎませんでした。
だから私たちは、商品を売ることよりも先に、「現場の声を集めること」「現場で知ってもらうこと」から始めることにしました。
フォロワー0から始まった挑戦
Buildsyは、小さな会社です。
テレビCMもありません。
雑誌広告を出す予算もありません。
芸能人を起用する資金もありません。
それでも、商品には自信がありました。
「知ってもらえれば、きっと使ってもらえる。」
そう信じて選んだのがInstagramでした。
もちろんSNSの知識も経験もありません。
ストーリーズとリールの違いすら分からない状態からのスタートです。
まず行ったのは、モニター募集でした。
「まずは現場で使ってほしい。」
「良いところも悪いところも、本音を聞かせてほしい。」
簡単な紹介動画を作成し、無償モニターの募集を開始しました。
すると、予想もしなかった反応が返ってきました。
「興味あります。」
「こういう作業台を探していました。」
最終的には50名を超える職人さんが応募してくださいました。
そして投稿された現場写真。
タグ付けされた一枚一枚の写真。
その一つひとつが、「のび台」というブランドの原点になりました。
一人の職人さんが、販売店へつないでくれた

ある日、一人の職人さんが工具専門店「Sagami」様へこう紹介してくださいました。
「こんな面白い作業台があるよ。」
その一言がきっかけで、実店舗で販売されることになります。
これもInstagramで生まれたご縁でした。
Sagamiさんで購入してくれたユーザーさんから広がる。
広告ではありません。
営業活動でもありません。
現場で実際に使ってくださった職人さんが、自ら広めてくださったのです。
この出来事をきっかけに、私たちは改めて気付きました。
商品を一番広めてくれるのは広告だけでなく
現場で使ってくださるユーザーさんなのだと。
YouTubeが全国へ広げてくれた

Instagramと並行して、YouTubeでの発信も始めました。
最初にご紹介いただいたのは、「大陶梁TV MASA&まーさん」。
「これめっちゃ便利だよ!」
動画が公開されると、予想をはるかに超える反響がありました。
注文通知が次々と届き、短期間で500台以上をご注文いただきました。
コメント欄やレビューには、
「現場で使ってみたい。」
「めちゃくちゃ使える!」
「もうペケ台を使わなくなった。」
そんな声が次々と寄せられました。
売れたことももちろん嬉しかったのですが、それ以上に嬉しかったのは、現場の皆さんが受け入れてくださったことでした。
その瞬間、「自分たちの直感は間違っていなかった」と確信することができました。
現場の声が、オリジナル開発の設計図になった
モニターの皆さんや購入者の皆さんから、多くのご要望が届くようになりました。
「不整地でも使いやすくしてほしい。」
「3×6ベニヤに合わせたい。」
「高さを選べたら便利。」
「ボードを積むからもっと低いモデルも欲しい。」
実は、海外展示会で初めて商品を見たときから、私たちも同じことを感じていました。
この構造は、本当に素晴らしい。
でも、日本の現場には合っていない。
だったら、日本の現場に合わせて1から作ろう。
私たちは職人さんの声を持って中国へ向かい、工場と何度も打ち合わせを重ねました。
図面を書き直し、試作品を作り、検証し、また修正する。
その繰り返しでした。
「のび台」が完成した日

工場探しも決して順調ではありませんでした。
何社へ相談しても、理想通りの商品はできません。
サンプルを作っても、思い描いていたものとは程遠い。
「本当に完成するのだろうか。」
そう思ったことも一度や二度ではありません。
そんな中、1社だけが私たちの想いを理解し、設計図に限りなく近い試作品を作ってくださいました。
その工場こそ、現在まで「のび台」の全モデルを製造してくださっているパートナーです。
ここからBuildsyオリジナルの「のび台」が誕生しました。
「のび台」という名前も、みんなで生まれた
オリジナルモデルが完成すると、次に必要になったのは名前でした。
発売当初にPRいただいた「大工の正やん」さんに命名していただいたのが、「のび台」です。
「のびる台だから、のび台。」
とてもシンプルですが、一度聞いたら忘れない名前です。
今ではBuildsy株式会社の登録商標となり、多くの職人さんに親しまれるブランドへと成長しました。
現場とともに進化するブランドへ

発売して終わりではありませんでした。
Instagram、YouTube、口コミ。
現場の皆さんが発信してくださったことで、「のび台」は一気に認知を広げていきました。
ある販売店様からは
「近年で一番売れた商品だよ。」
そんな嬉しい言葉までいただけるようになりました。
InstagramやDMには、今でも毎日のようにご要望が届きます。
「このサイズが欲しい。」
「この高さも作れませんか。」
「この色があったら嬉しい。」
私たちは小さな会社だからこそ、意思決定の速さを強みにしてきました。
現場の声をすぐに開発へ反映し、現在では9サイズ・7色のラインナップへと進化しています。
この進化は、Buildsyだけでは決して実現できませんでした。
作ったのは私たち。育ててくれたのは職人さんたち。

もし、最初のモニターへ応募してくださる方がいなかったら。
Instagramで投稿してくださる方がいなかったら。
Sagami様へ紹介してくださる職人さんがいなかったら。
YouTubeで紹介してくださるクリエイターの皆さんがいなかったら。
全国へ広げてくださった商社様や販売店様がいなかったら。
現場で「ここをこうしてほしい」と教えてくださる皆さんがいなかったら。
今の「のび台」は存在していなかったかもしれません。
のび台を企画・設計したのは、私たちBuildsyです。
しかし、「のび台」というブランドを現場へ広げ、育て、信頼される存在にしてくださったのは、間違いなく職人さんをはじめとするユーザーの皆さんでした。
だから私たちは、「のび台」はBuildsyだけの商品だとは思っていません。
現場の皆さんと一緒につくり、一緒に育ててきたブランドです。
40,000台という数字は、私たちの実績ではありません。
現場の皆さんと積み重ねてきた歴史そのものです。
そしてこれからも、「伸縮作業台といえば、のび台」と自然に呼んでいただける存在であり続けられるよう、一つひとつの声を大切にしながら、日本の現場に本当に必要とされる製品づくりを続けてまいります。

